中小企業の資金繰りを誰にでも わかりやすく 超基本編②
前回から引き続き 中小企業 の 資金繰り の超基本となります。資金繰りがわからない、運転資金(運転資本)がわからない という方に向けた内容です。
前回の内容は下記でした。
- 資金繰り は ビジネスを続ける事 とほぼ同じ
- 現時点の現金 ± 把握したい将来までの現金の動き = 将来の現金
- 資金繰り の理解が 難しい と感じる原因はタイミング
- 仕組みづくりが大切
タイムラグがある入出金の代表例は
- 売掛金等の債権
- 在庫
- 買掛金等の債務
- 税金
でした。今回は、タイムラグがある入出金をもう少し細かく見ていきます。
売掛金等は回収しないと商品を引き渡しただけ
売掛金等は、売掛金や受取手形など商品やサービスなどを販売して現金で受領していない取引相手を信用して貸している部分と考えて下さい。
例1) 100円で購入した商品を100万円後払いで譲渡しました。しかし、いつになっても100万円は振り込まれません(涙)
ものすごく儲けたと思ったら損をした極端なパターンです。今回の痛手は100円ですが、100万円を当てにして他の取引をしていたら大変なことになっています。
売上を上げるために後払いで商品を相手に詰め込んだ所で、売掛金は回収できない限り、商品を引き渡しただけ損をした事になります。
つまり、現金の観点では、販売はしたものの、同額のお金を貸したのとほぼ同じ意味なので、プラスマイナスゼロ、そして在庫は減っています。
また、貸倒損失となりますが、税務上はかなり損失計上がシビアな論点になり、一方で売上は課税されるという悲惨な事が生じる部分です。
回収の管理は非常に大切です。これは別途お伝えします。
買掛金等は支払期限が大切
立場は入れ替わり仕入側のお話です。買掛金等は、買掛金や支払手形など商品やサービスなどを仕入れて現金で支払っていない取引相手を信用して借りている部分と考えて下さい。
例2 ) 100万円で購入した商品を後払いにしています。半年後の支払いでOKとなっています。次回以降の仕入れも同じ条件です。
こんな事があるかは別にして、商品が仕入れた値段以上で半年以内に売れる限り、仕入業者に対しての支払いは可能です。
この半年以内が、3か月以内、1か月以内と短い条件になるにつれ、いつまでに・いくらで販売しなければならないか、販売できないなら手元資金を使うか、借入を行うかなどが変わってきます。
資金繰り表を作る上で債務の管理は非常に大切です。これは別途お伝えします。
在庫は売らないとお金にならない
将来お金に変わる可能性がある在庫ですが、売って回収しない限りお金になりません。
例3 ) 1000万円で購入した商品を後払いにしています。売れていませんが、商品の支払期限がきました。
多種多量の在庫を自ら抱える事で強みを発揮している企業でない限り、多すぎる在庫は良いものではありません。
なぜならば、在庫を仕入れるためには、お金をどこかのタイミングで支払う事になるからです。
余剰在庫・不良在庫を抱えるという事は、それだけお金を費やしているという事になります。当然、在庫をカウントするにしても無駄です。
でも、なぜ廃棄できないのでしょう? 赤字が広がるからかもしれません。
かつて、社長が利益率をあげる号令をかけた所、棚卸資産の残高をいじくって、プレッシャーから逃れてしまったという事件がありました。どんなに使えない商品があっても期末棚卸高に含めてしまうと利益が増えてしまうのです。
悪用しないで下さい。
在庫の管理は非常に大切です。これは別途お伝えします。
忘れた頃にやってくる税金
税金は納期限があります。3月決算なら原則は5月末です。
例4 ) 当期は差し引きで5500万円(消費税500万円)の利益が出ていました。なんだかんだ手元に現金はほとんどありません。
消費税も法人税も基本的に後払いです。(中間申告は前払いですが。)儲かっているからと、無駄遣いしすぎると、税金が支払えなくなります。
特に消費税は日々の売上と共に残高に含まれるので、その存在は後々大きなものとなります。
まとめ
- 売掛金等は回収しないと商品を引き渡しただけ
- 買掛金等は支払期限が大切
- 在庫は売らないとお金にならない
- 忘れた頃にやってくる税金
売掛金をゼロにして、買掛金の期間を最長化して、在庫をゼロにする という事は、基本的にできません。
どうしてもタイムラグが出てしまうので、そのタイムラグをつなぐための資金が必要になります。自己資金を使うのか、金融機関など第三者から借りるのかとなります。
ご相談は経営革新等支援機関である藤原淳税理士事務所までこちらからお願い致します。
神奈川県平塚市に事務所はございますが、厚木市、秦野市、伊勢原市など周辺エリアはもちろんzoomで全国からご相談頂くことも可能です。