タイムマシンで見る運転資本
運転資本とは
運転資本とは
(営業債権 + 棚卸資産) - 営業債務
です。
タイムマシンで過去へ
商品と営業債権はタイムマシンで過去に戻れば、現金です。棚卸資産を買って、それを売っているので、現金です。
棚卸資産も営業債権のもとは現金なのです。ただ、現金と違う部分は、棚卸資産も営業債権も換金できないと、価値がなくなります。
そして、現金で支払ったはずの在庫や営業債権(元は在庫)のうち、ちょっと支払いを待っている部分が営業債務です。
(営業債権 + 棚卸資産) - 営業債務
は既に現金を使った部分となります。
仕入/現金支出 → 商品 → 販売 → 営業債権 → 現金収入
仕入時に現金払いする場合の運転資本は
営業債権 + 棚卸資産
です。ちょっと待ってもらっている部部分がないので、営業債務を引く必要がありません。
営業債権と棚卸資産はもともとは現金なので、
営業債権 + 棚卸資産 ≒ 過去に支払った現金
です。ただ、営業債権は売価であるため原価ではありません。
利益を含んでいます。
でも、利益を含んでいる理由があります。
もう一度タイムマシンで過去へ
仕入/現金支出 → 【商品 → 販売 → 営業債権】 → 現金収入
営業債権は 商品が販売されて変化したものです。
給料、広告宣伝費、利息、税金、借入金の元本など、商品原価以外のすべての必要な支出は、
販売した対価と仕入れた原価との差から支払う事になります。
つまり、既に支払うか、これから支払う支出が含まれています。
売上債権 = 商品原価 + 商品原価以外のすべての必要な支出 + α
+α は何でしょう。
ちょっとタイムマシンで未来へ
未来 仕入/現金支出 → 商品 → 販売 → 営業債権 → 現金収入
1回目の営業債権には+αが含まれていたので、2回目の仕入れに使えるお金は増えています。
つまり、仕入れる事ができる量が増えます。
さらに未来へ行けば、もっと仕入れる事ができる量は増えている「はず」です。
これが利益です。
※正確には違いますが、この段階では良しとしてください。
借入とタイムマシン
借入を使えば、グルグルグルグル地道に販売して仕入の量を増やす代わりに、最初から借り入れたお金でドン!と仕入れる事ができます。
借入は商売が順調に進んだ未来の自分から、お金を持ってくる事と大して変わりありません。
それならばと、現在の自分が大量に仕入れると、在庫の山となります。
じつは未来では売れない商品を仕入れていたのです。
在庫は換金できない限り価値がありません。
しかし、実際には借りて支払っています。
これでは返せません。
つまり、順調に健全に運転資本が増えてく必要があります。
運転資本が増えるという事は、必要なお金が増えていく事です。
返さなくて良い運転資本
実は返さなくて良い運転資本があります。短期借入です。手形貸付や当座貸越になります。ただ、なかなか銀行はOKしてくれません。
健全に順調に運転資本が拡大していく状態でないと、棚卸資産は無価値になります。銀行から見れば、お金が返ってきません。
そのため簡単にはOKしてくれませんが、OKしてもらえたならば、運転資本部分を調達しなくてよくなります。
通常の借入金を使って運転資本の調達をしていたとしたならば、運転資本相当分の返済が減少するので、資金繰りは楽になります。
こんなメリットがある借入なので、選ばれたモノのみ使えます。
筋肉質な会社にする必要があります。
筋肉質でない会社
筋肉質でない会社とは余計なものが多い会社です。
無駄な車、設備、経費などです。
つまり総資本利益率が低い会社となります。
とりあえず総資本利益率は
総資本利益率 = 経常利益 ÷ 総資本(総資産)
とすると、無駄な資産が増えると分母が増えるので、
総資本利益率は下がります。
さて、この無駄な資産はタイムマシンで過去に戻れば、現金です。
現金の使い道に失敗していると、総資本利益率は下がります。
筋肉質にする
「30日で痩せる!」事があれば良いのですが、ありません。
- 余計なカロリーをとらない
- 燃焼効率を上げる
こんな事をすれば人は痩せます。
会社の場合はどうしたらよいでしょう?
- 余計な現金は使わない
- 同じコストなら、もっと稼げるようにする
同じ事の会社版です。
棚卸資産は現金ですので、売れないものまで多く抱える必要はありません。
事業には必ずしも必要のないスーパーカーもいりません。これも現金です。
もっと稼げるようにするには、行動を変える事になります。
例えば、電話をしてアポが取れると売上が上がる事が分かっているなら、アポをとるための電話の回数を増やします。それで給料の支払いが変わらないなら、筋肉質になります。※ブラック企業になるのではなく、効率を上げるという意味です。
何かをしたら、何かが起きる
分かっているけどできない 場合には、何か心理的なハードルがあります。
これも解決します。
面倒だったり、得意でなかったり等々の摩擦があると思いますが、まずやります。
これが事業計画をたてる上で必要になります。
事業再生とまではいかなくても、必要になります。
最終的に数字で考える事になるのですが、そもそも論として数字にできない壁も確認する必要があります。
ROAが低い理由は見栄っぱりだからかもしれません。
羽振りの良さを演出するために、いらないものにお金を使っていれば、ROAは下がります。
ROAが低い理由は、個人競争が強すぎて、成功事例が共有できないからかもしれません。
ROAが低い理由は、間接部門が評価されないから、営業部門との関係がないからかもしれません。無駄な作業が増えているかもしれません。
タイムマシンで過去に戻れば、現金
タイムマシンで過去に戻れば、結局は現金です。
それを使う人がいるだけです。
過去は変わりませんが、今からは変わります。
事業計画をたてながら、問題点と夢を総ざらいします。
やはり心理的ハードルもあるので、第三者の目はあると良いです。
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